木村秋則の奇跡のりんごの真偽。無農薬栽培と消費者の関係について

木村秋則の奇跡のりんごの真偽。無農薬栽培と消費者の関係について

10月26日に放送されるプロフェッショナルにりんご農家の木村秋則さんが登場します。

毎回毎回おもしろい仕事のプロを紹介するこの番組。私もファンで毎週欠かさず・・・とはいきませんがボチボチ見ています。今回登場する木村秋則さんは、無農薬栽培のりんごを推進している農家の人。

無農薬栽培の真偽、農薬は危険なのかどうか。木村秋則さんの奇跡のりんごについて、色々と掘り下げてみました。

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木村秋則・プロフィール

本名  :木村秋則(きむら・あきのり)
生年月日:1949年生まれ
出身地 :青森県中津軽郡岩木町
学歴  :弘前実業高校卒

高校を卒業後、川崎市のメーカーに就職するものの、父に「農業を手伝って欲しい」と説得され1年半で退職しています。

本格的に農業を始めたのは71年から。実家のりんご栽培を営んでいたところ、家族が農薬で健康を害したことをきっかけに無農薬栽培の方法を模索し始めます。

その道は苦難の連続で、10年もの長い間、無収穫、無収入の生活を続けていたそうです。その苦労の甲斐あって、ついに無農薬りんごの栽培に成功。「奇跡のりんご」と呼ばれる木村さんのりんごは、日本中で愛されています。

現在は、講演会や指導などを通じて自然栽培の大切さを世間に伝えるために、全国各地を奔走しているのだとか。

10年近く無収入で良く投げ出さなかったなと、まずそこに感心してしまいますね。私なら1年を待たずに見限っていたと思います。その苦難は想像を絶するもので、かくいう木村さんも一度は自殺を考えた程だとか。

弘前大学農学生命科学部の杉山修一教授は、「農薬を使わないりんご栽培は世界ではじめてではないか」と評しているとか。

農薬と農業と消費者

私が驚いたのは、農薬を使わないりんご栽培は世界ではじめてと言われるほど無いものなんだなということでした。世間では自然栽培の作物を求める声が高まっているわけですが、農薬を使わずに栽培をする方法は意外にもないものなんですね。

もっと真に迫る言い方をするならば、「農薬を使わずに農家の方が生計を立てる方法が(または、全国の需要を満たす方法が)ない」と言った方が良いでしょうか。もともとは自然に生息していたものですから。

一口に農薬と言うと、我々一般人はとても危険な匂いを感じ取ります。安全に使うために農薬取締り法なるものが存在し、農家の農薬の使い方にも上手い下手があるということも知りません。

世間の農業に対するリテラシーなんてその程度のものですから、“自然栽培”の語感の良さに中てられて、信頼のおける権威のある作物を求めるのは自然な流れと言えるでしょう。

物が溢れる今日の日本で、「何々を買いたい」ではなく「誰々から買いたい」と需要が変化していっているのも、時代の流れなんでしょうね。

木村さんのことを紹介しようと思い、色々と調べていくうちに、農薬と農業に透明性を確保するのはとても難しいことなのではないかと感じるばかりでした。なぜならば、その透明性の真偽を見極めるためには、農薬の作用や使い方に特別な知識を必要とするからです。

無農薬やどうかを判断する術、どこまでを無農薬とするのかという線引き(国の農薬指定など)、農薬の効果と副作用の実態(農薬は本当に害なのか)などなど、現在進行形で研究者や生産者の皆さんが日夜研究している問題を、一般的な常識、正しい知識として簡単に分かりやすく浸透させるのは科学的に考えて不可能に近いでしょう。

もちろん、自然栽培なんて嘘だ!なんて思ってはいません。しかし、世間からこれだけの評価を得ているモノだから間違いないとするのは少し早計なのかもしれないなーというのが、一消費者としての私の考えです。

数の力も権威のひとつの形に過ぎませんから。そうは言っても、消費者が真偽を確かめる術が具体的な方法として存在していませんから、なるべく信頼の置けるものを求めるのが人情というもの。

その点に注目すると、木村さんの仕事は権威の力に支えられた「奇跡のりんご農家」というキャラクタービジネスとして成り立っている側面を否定できません。

嘘と本当

木村さんの奇跡のりんごについて、否定的な意見も少なくありません。読んだ中から、面白かった記事をいくつか紹介します。

生産者としての意見として、とても説得力のある文章を書かれていたのはこの記事でした。

Screenshot無農薬・無肥料栽培への私見
最近、当園を無農薬・無肥料園と、間違っての問い合わせがあり、困惑している。人には人の考えがあるのだから、それぞれが実施していることを批判することもないのだが、間違っての問い合わせや筋違いの批判に、私見を書いてみることにした。私は学者でも公人でもない。一生産者としての考えである。そのことを理解して読んでくだされば幸いである。

農薬が必要とされる現状を、国の自給率や自然の循環の面から考えていて、とても共感できる記事でした。

読んだ中で一番過激だったのはこの記事でしょうか。映画と農業を結びつけたやり方に物申したいという気概が伝わってくる記事です。

Screenshot「奇跡のリンゴ」という幻想 -安物の感動はいらない-
昨日、「奇跡のリンゴ」という映画が公開されました。「無農薬無肥料栽培でのリンゴの栽培に成功した」と自称している、木村秋則という青森県のリンゴ農家の物語です。その影響か、私のブログ記事にコメントが集まっております。1年以上前の記事だというのに。この作品に対して言いたいことは山のようにあります。

数ある記事の中で、一番感銘を受けたのはこの記事。

Screenshot「奇跡のリンゴ」木村秋則氏に抱く疑問
夜、たまたまテレビをつけてみたら「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK)をやっていた。それでひとつまずいことを思い出した。以前この番組に木村秋則さんという人が出演し、その後この人の生き様を綴った「奇跡のリンゴ」(石川拓治、幻冬舎)という本がベストセラーになった。まずいことと言うのは、旧友から「木村さんのリンゴが手に入らないか」と頼まれていたことだ。きちんとした返事ができていなく、申し訳ないと思う。

無農薬栽培を推し進めるキャラクターとしての木村秋則さんと、一農家としての木村秋則さんを別の視点で分かりやすく捉えていて、とても勉強になりました。

まとめ

多くの人が気になる問題は、「無農薬栽培は嘘か本当か」ということではないかと思います。

そのことを掘り下げていくと、「果たして農薬は本当に危険なのか」「農薬とは一体何なのか」というように様々な疑問が頭をもたげてきて、結局収集がつかなくなるのが私の現状でした。

色々と考えを巡らせている内に頭がパンクしそうになったので、途中で考えるのをやめました(笑)結論として、私はきっと木村秋則さんのりんごをネットで買うことはないでしょう。私がりんごを買い求めようと思った際には、先ほど紹介した記事を書かれた「木村りんご園」に頼もうかなーとぼんやり考えています。

袖振り合うも他生の縁と言いますか、木村秋則さんの記事を読んだのが縁というのがまた皮肉な話ではありますが。

Screenshot木村りんご園
当園は青森県の津軽平野の南東端に位置するりんご園です。自宅は東北高速道の黒石ICから1Km、全国唯一のりんご試験場から1Km、弘前から国道102号線を16km、十和田湖から30kmくらいのところです。黒石市は自然が豊かな、静かな農村地帯です。傾斜地が多く、作業性は悪い地帯ですが、排水が良いため、とても美味しいりんごが生産される産地です。なお、青森県地図をクリックすると、自宅周辺の見取り図が見られます。当園で生産されたりんごは、大部分はJA津軽みらいに納入され全国に出荷されます。

回し者でもなんでもありませんので、あしからず。

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